山形県鶴岡市羽黒町川代(結構山奥)にある、
「スタジオセディック庄内オープンセット」。
2009年9月(当時は庄内映画村オープンセット)から、
映画の撮影セットを一般公開しています。

それとは別に、
鶴岡市中心地に比較的近い羽黒町松ヶ岡の「松ヶ岡開墾場」内に、
「庄内映画村資料館」があります。

2005年に「映画蝉しぐれ資料館」として開館。
オープンセットで撮影された数々の名作映画に使用した室内セットや、
衣装や小道具を多数展示しています。

しかし令和元年12月1日「映画の日」を最後に、
閉館することが決定しました。

その前に、今回は子ども2人を連れて、
庄内映画村資料館にお邪魔しました!

1.松ヶ岡開墾場とは?

「庄内映画村資料館」は、「松ヶ岡開墾場」の「五番蚕室」です。

松ヶ岡開墾場は今から約150年前の明治時代、
旧庄内藩士が原生林だった松ヶ岡を人力のみで開墾し、
広大な桑畑と10棟の大蚕室を建てたものです。

庄内藩は戊辰戦争で旧幕府軍として戦い、
一番最後に降伏した藩です。
賊軍の汚名を晴らすため、旧庄内藩士は無給で必死に松ヶ岡を開墾し、
鶴岡市は「日本最北端の養蚕地」として発展しました。

開墾士たちの頑張りは、かの西郷隆盛も高く評価しています。
「気節凌霜 天地知(きせつりょうそう てんちしる)」
という言葉を贈って、開墾士たちを励ましてくれました。

(西郷隆盛は、最後まで戦った庄内藩に寛大な処置をしてくれて、
それ以来いろいろと交流があったのです)

今では蚕室も5つしかありませんが、
松ヶ岡開墾場は国指定史跡・日本遺産に登録され、
鶴岡の絹は「サムライゆかりのシルク」と呼ばれています。

一番蚕室は歴史を学ぶ「松ヶ岡開墾記念館」に、
二番蚕室はカフェやショップが入ったお休み処に、
三番蚕室は「おカイコさまの蔵」として蚕の飼育展示を見学でき(期間限定)、
四番蚕室は「庄内農具館」になっています。

ほかにも藩主住宅「松ヶ岡本陣」や、藩士住宅「新徴屋敷」
陶芸やクラフト体験ができる施設など、みどころが多数あります。

マルシェやクラフトイベントなど、
定期的に楽しい催しも開催されています
庄内映画村資料館とセットで入館できるチケットも販売しているので、
時間のある人は松ヶ岡開墾場全体をまわってみましょう!

2.「企画展」をのぞいてみよう

本題に戻って、「庄内映画村資料館」に行きます。
無料駐車場入ってすぐ右手、
歴史を感じる重厚な黒い木造蚕室の前に、
『おくりびと』『おしん』『るろうに剣心』などの映画タイトルを染めだした
カラフルなのぼりが多数立てられています。

受付でチケットを買い、
(今回は子連れのうえ、展示予定の蚕も予定が遅れて不在ということで資料館のみ入館)
一歩入ると壁にずらり、映画のポスターが!

現在の展示は「さらば平成~映画でふり返る30年~洋画編」です。
私たちが行った時(令和元年9月初め)は、
夏休みの子ども向けに「アニメ・特撮編」が開催されていました。
『アンパンマン』『ディズニー』『妖怪ウォッチ』など、
見慣れたアニメのポスターが大きく貼り出してあり、子どもたちが歓喜しました。

靴を脱いで1Fの常設展示スペースに入ると、
パネルにA4サイズの映画パンフレットがびっしり並んでいました。
ジブリや特撮などのテーマ別に、時系列順に展示してありましたが、
なかなかに壮観で見入ってしまいます。

見たことのある映画作品のものがあると、
なんだか懐かしくてテンションが上がります。
館内は特定のスポットを除いて撮影禁止なので、
画像がない旨ご容赦くださいませ。
実際に行って見て、楽しみましょう。

3.「1F常設展示」を見てみよう

続けてそのまま、常設展示を見てまわります。

入ってすぐ、「昔あそび」のコーナーがあり、
メンコやけん玉、だるま落としなどが置かれていました。
夏休みの子ども向けと思いきや、これも常設展示です。

娘は自分の身長ほどもあるドールハウス(3階建て!)にすっかり魅了されていました。
私は私で、昔のアニメやヒーローが描かれたメンコが面白くて、
ついじっくり眺めてしまいました。

その横には映画の台本や、
映画雑誌の置かれた棚
もあったのですが、
こちらはじっくり見られなくて残念でした。

順路に沿って進むと、
『山桜(篠原哲雄監督・08年公開)』『必死剣鳥刺し(平山秀幸監督・10年公開)』などの
藤沢周平原作映画を筆頭に、
『ICHI(曽利文彦監督・08年公開)』、『スノープリンス(松岡錠司監督・09年公開)』など
映画村で撮影された映画の小道具やポスターが展示されています。

『デンデラ(天願大介監督・11年公開)』の衣装には、
浅丘ルリ子や草笛光子など、
マネキンにキャスト名が貼りだされていました。
映画そのままの衣装を見ると、一気にその世界観を身近に感じます。

『おくりびと(滝田洋二郎監督・08年公開)』は、
言わずと知れた日本初のアカデミー外国語映画賞受賞作品です。
ここでは劇中で使用された棺桶に入って記念撮影ができます。

『座頭市(阪本順治監督・10年公開)』は、
主演の香取慎吾の巨大パネルが目を引きます。
キャストやスタッフのサインも展示されていました。

『るろうに剣心(大友啓史監督・14年公開)』
『超高速!参勤交代(本木克英監督・14年公開)』
など、
記憶に新しい作品も見られます。

ほかにも、スーパーマンなどのアメコミヒーローや、
スターウォーズのキャラクター、ディズニープリンセスなど、
さまざまなフィギュアやソフビ人形が飾られたスペースもありました。

次は2階に行ってみましょう。

4.「2F常設展示」は凝ったしかけがいっぱい

階段をのぼるとすぐ右手にあるのが、
『スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ(三池崇史監督・07年公開)』の、
平家のアジトこと「赤の宿坊」のセットです。

赤を基調としたド派手な襖絵と、縁まで赤い畳は、ビジュアル的にインパクト大です。
奥にはメインキャストの衣装などがありました。
西部劇らしく「WANTED」のポスターに顔ハメして、記念撮影もできます。

『山形スクリーム(竹中直人監督・09年公開)』も、
劇中に登場した仏像の顔出しパネルで記念撮影が可能です。
小道具の仏像やキャストの衣装が、
どれも個性的でついニンマリしてしまいます。

次は名作『おしん(富樫森監督・13年公開)』の舞台が登場します。
おしんが冬の一時期身を寄せた山小屋の室内セットは、
広くて立派な造りでした。
土間に薪割り道具や薪の束があったり、壁には蓑が掛けられていたりと、
小道具も独特の雰囲気を醸し出しています。

一番奥にあるのは『十三人の刺客(三池崇史監督・10年公開)』の展示物です。
キャストの衣装はそれぞれに違いますが、
刺客なのでみんな黒を基調とした袴でした。
よれよれでもスタイリッシュでカッコいい、これぞプロの仕事ですね。

工藤栄一監督版『十三人の刺客』をはじめ、
往年の映画のポスターが随所にあり、昭和生まれの私はかなりときめきました。
古民家の可愛いジオラマや、
ロケ弁の掛け紙でできたイラスト入りの灯篭
など、
細かいところまでじっくり見たい展示物がたくさんあります。

施設のパンフレットによると、
切り絵の施された欄窓や、天井のしかけ、随所に忍ばせたシネマ人形など、
さらに細かい見どころが随所にちりばめられているそうです。
私は慌ただしくてじっくり見ていられませんでしたが、
皆さんはぜひさがしてみてください。

5.コスプレ写真を撮ろう

受付前には、黒光りする「御所車」と「人力車」が鎮座しています。
大人も乗れる本格派です。
(ここは撮影許可スポットです)

さらに横には貸衣装スペースもあって、
自由に着替えて写真が撮れます。
せっかくなので、子どもたちも着替えて記念撮影をしました。

親子揃いの紺絣の着物や、
新撰組の浅葱色の袴、はいからさん風の矢絣の袴、巫女装束
など、
服の上からでも着られる衣裳がたくさんありました。
(襟ぐり大きい洋服着ればよかった・・・)

小道具として、オモチャの日本刀や可愛いきんちゃく、
コントで使うような丁髷のカツラや兜、
カラフルなおかっぱのウィッグなども借りられます。

娘は赤いチャイナドレスと、なぜかピンクのウィッグをチョイス。
息子は足軽の甲冑(大人用なので着付けが大変)に日本刀を持たせました。
なかなか面白い写真が撮れて、
あとで家族みんなで大爆笑しました。

最後に

家族で来ても、一人で来ても、
「庄内映画村資料館」はいろいろと楽しめます。
閉館後はイベント時のみの公開になるということで、
行ったことのない人は、今のうちにぜひ足を運んでみましょう!

庄内映画村資料館

庄内映画村資料館 公式ホームページ

庄内映画村資料館 Facebook

〒997-0158 山形県鶴岡市羽黒町松ヶ岡字松ヶ岡29 
      松ヶ岡開墾場

TEL 0235-62-2080(予約専用0235-62-2134)
FAX 0235-62-5181

開館時間 9:00~17:00(最終入場16:30)

※11月から3月まで、
 松ヶ岡開墾記念館は土日祝のみの開館(年末年始は閉館)になります。
 今季の松ヶ岡本陣の一般公開は、11月16日(土)が最終日です。

※令和元年11月30日と12月1日は、14年間の感謝を込めた
 さよならイベントが開催されるそうです。

※子ども連れで庄内映画村に遊びに行った時の
イラストレポートはコチラから。